大量の煙のすぐ手前の超高層ビル、その窓という窓がピカッと光った。
そしてその直後、ビルは轟音と共に崩れ落ちた。
あたかもダイナマイトによるビル破壊のように…。
人々は一目散に逃げ出した。
僕も勿論その一人だ。
人込みに押されカメラに収めることはできなかったが、何というものを見てしまったのか…。
まだ事件の余波は続いている。
それを身を持って実感してしまったのであった。

キャナル・ストリートに着いたら、さっきの4倍くらいの数の装甲車が道を埋めていた。
そこから更に歩いて、僕は14丁目と6番街の角まで辿り着いた。
足はくたくただったが、幸いにも市バスが走っており、僕はそれに乗った。
料金は無料だった。
MTA(ニューヨーク市交通局)の良心的な配慮だろう。
家路につきながら、僕は震えていたような気がする。
目を閉じると、今でもあの光景が浮かんでくる。
あの47階建てのビル崩壊は僕の脳裏に焼き付いて、消えることは一生ないだろう。

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