1時間か2時間か分からない。
僕はその場に立ち尽くした。
信じられなかった。
ニューヨーク、いやアメリカの摩天楼のシンボルが、もう存在しないのだ。
今回のテロをまるで映画のようだと例える人がいるが、はっきり言ってその通りかもしれない。
昨日見たはずの巨大なビルが、2本ともその姿を消してしまったのだから…。
そこからワールド・トレード・センターの別のビルが赤々と燃えているのも確認できた。
消火活動が続いているが、炎は一向に衰えそうにない。
現場では多くの情報が錯綜していた。
僕はようやくこの場で、ワシントンDCとペンシルヴェニアでも同様のテロが起きたこと、全米中の飛行機が緊急着陸をし空港が閉鎖されたことを知った。
未だに行方不明の飛行機があるという未確認情報まであった。
「僕は、とんでもない所に来てしまった…。」
現場から逃げてきたという赤ん坊を連れた女性がNBC局のインタビューを受けていた。
「命辛々」というのは、不躾だがこういう人のための表現に違いない。
僕はその様子を見守っていた。
すると、その時だった!!