途中立ち寄った銀行は、平日だというのになぜか窓口はクローズ、またATMには多くの人が列を作っていた。
「これはやはりただごとじゃないぞ。」
中に待機している行員達が、通常なら金融情報を流しているはずのテレビをもくもくと見つめている。
閉鎖されたガラス戸ごしに僕は覗いてみた。
「…!!!ξ★×▽и!」
驚くべきことに、頭からみるみる崩れ落ちるツインタワーの姿が映し出されているではないか!!
『自分の目を疑う』とは、真にこういうことを指すのだろう。
僕はその場に何分か立ち尽くしてしまった。
ただ、カラス越しのため音声は全く聞こえないし、遠目で見るブラウン管なのではっきりとその事情が分からない。
とりあえず成績証明書を発行してもらうという当初からの予定を果たすため、その足で学校に向かう。

案の定休校だった。
オフィスもやっているのかやっていないか分からない状況だ。
久し振りに再会した友人達に聞いた。
サブウェイは全面通行止め、市バスは飽和状態、そして全米の空港が閉鎖されたらしい。
朝早くニュージャージーからやってきた友人は、あらゆるトンネルや橋が閉鎖されたため帰れないそうだ。
テロなのか?!こりゃ大変だ。
これからの用事はどうしたもんか。
しかたない…時間もあるし天気もいいし、セントラルパークを通って徒歩で行こう。

パーク内は、パークドライブ(車両通行用の道路)が閉鎖されていたことを除いて概ねいつもどおり。
散歩を楽しむ人、読書する人、幼子やペットを連れているご夫人、日光浴をする人etc。
ただ、異様な数のスーツ姿のサラリーマンやOLっぽい人々がパークを北上している。
彼らの多くは携帯電話で街の状況等を話している様子だった。
やはり会社が閉まるほどの一大事なのだろうか。

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