9月11日

6時半ごろ目が覚めた。
日課のクラシック専用FMを付ける。
眩しい朝日に心地よい。
しばらくしてTVを付けてみる。
ケーブルに加入していない僕は、実はほとんどのチャンネルを見ることができないのだが…(涙)。
マンハッタンは高層建築密集地のため、一般のTV用アンテナは用を成さない。
そんなうちのテレビジョン受像機は、悲しいかな、もっぱらVHS用である。
ただしそんなTVがなぜか日によって映ったりもするから不思議。
摩訶不思議、それがニューヨーク・シティー。
「今日もだめだったか…」
テレビを消す。
クラシック局はイッポリトフ・イワノフの「コーカサスの風景」なんか(失敬!)やっているからそれも消す。
この日は10時過ぎから出かける予定だったので、しばらくの時間ゆっくりしていた。
身支度を終えて、出かける間際になんとなくまたラジオをON。
そうしたらなんと、信じられないニュース速報が…

「飛行機がツインタワーに突っ込む?崩壊??なんの話だ?!?」
しかし何度聞いても"Collapsed"と言っている。
しつこいくらい言っている。
『自分の耳を疑う』というのは、こういう時のための言葉なのだろう。
本当か?!確かめたい。
しかし現在、なんと電話線の不具合で電話ファックスはおろかインターネットも使えずおまけに携帯もバッテリーが寿命で使えないという僕にとって(これこそ『泣きっ面に蜂』というのだろう)、手段は限られていた。
僕は、以前屋上からへツインタワーの上層部がちょこんと見えたのを思い出し、早速エレベーターに乗り込み'R'を押す。

15階建てのアパートの屋上。
何人か先客がいた。
彼らの視線の先はダウンタウン。
そして……なんと南のかなたに周囲の摩天楼を見下ろす程の高い煙が…!
そしてワールドトレードセンターの四角い双頭はなぜか見えない!!
「これはいったい何事だ?!」
僕は階下に降りた。

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