木村康人の
Millennium地球一周旅行記

= エピローグ (2000年8月17日) =





〜 Epilogue 〜
 YOKKAICHI, Japan
 8月17日水曜日晴れのち曇り 「えぴろおぐ」

  こうして僕は、総移動距離5万km以上、総飛行時間60時間以上という4大陸をまたにかけた壮大なミレニアム企画を達成する運びとなった。今回の旅の3種の神器を挙げておこう。スターアライアンス、シティバンク、そしてインターネット・・・これらのお陰で僕の旅は成功に導かれた訳である。とにかく本当に色々な人に出会い、様々な出来事に遭遇した2ヶ月間だった。シドニーでのスカイダイビング未遂など、もはや遠い過去の出来事のように感じる。発見や驚きもいっぱいあった。英語圏を旅することが比較的多いと思い安心しきっていた僕だが、まともな英語(米語)はオタワとNYでしか聞かなかったというのも面白い。また冬のシドニーからクソ蒸し暑い東南アジアへ、そしてすぐに肌寒いドイツ及びノルウェーへと移動し、体調を崩さなかったのが不思議なくらいである。
  
  旅を振り返っての感想を少しだけ。とりあえず世界中がアメリカナイズされていってる気がするのがやはり残念。あと「日本は所詮アメリカの51番目の州」と思っていた僕だが、今回多少考えが変わった。実は日本は「アジア」以外の何物でもないと思う。アジア諸国や欧米諸国を一度に見聞し日本をそれらと並列させたとき、僕は日本という国は紛れも無くアジア的であると理解した。それは町並みであったり食べ物であったり価値観であったり色々だが、とにかく日本は120%エイジアンなのだ。西洋の物真似ばかりするな、と文句も言いたくなってしまう(もっとも「西洋」などといっている時点で既に欧米化されているのだが・・・)。しかし逆に言えば、日本はアジアの一国のくせにめちゃくちゃスゴイ国に違いない。道に出れば新しい車ばっかり走ってるし、街を歩けば小奇麗な人でいっぱいだ。ありとあらゆる国と地域で日本人観光客は発見できる。しかし「本当にこれで良いのだろうか」と思える部分も数え切れない程多い。資源も国土面積も何もない、あるのはYEN¥だけという日本に於いて、何故これだけの物が溢れそして無駄に消費される必要があるのだろう。前にも書いたが、原油が自国で採掘できるノルウェーのガソリンは日本より高い。シンガポールの自動車の関税は200%を越える。こんな小さな島国が大きくなりすぎてしまったと思うのは僕だけだろうか?? オージーやマレーシアンの気さくで明るいエスプリ、シンガポールの知的で綿密な街づくり、その日を生きるためしのぎを削るインドネシアンの汗、大フィヨルドに始まるノルウェーの大自然、劇的な東西合併を経ても変わらぬドイツの素晴らしい芸術文化、メイプルリーフを愛するキャナディアンの愛国心、ニューヨーカーの爆発的エナジー・・・これらを真に肌で感じてきた僕は、日本国そして日本人の先行きを案じられずにはいられないのだ。決して悲観主義者でない僕だが、今日の日本の異常なニュースを見聞きしてどうして楽観的でいられよう。
  
  ちなみに僕自身アメリカに住んで丸5年経ったが、僕は自分が日本人であることを忘れたことは一日たりともないと言ってよい。常に日本を背負って生きているという訳では全くないが、日本という故郷が僕のアイデンティティの大きな部分を占めているということと、自分が自分の国を愛していることは間違いないからだ。だから上に書いたみたいに多少憂いを持ってしまうことも良くある訳で・・・。今回の旅行中も同様だった。まぁ何が日本人かって、小澤征爾先生も以前似たようなことを言っていたけど、ただ単に「日本のパスポートを持ってる」なんてことじゃなく「お風呂が気持ちイイ」とか「味噌汁を美味いと感じる」とか、そういうアイデンティティなのかもしれない。ただこの種に限らず全ての個性は僕は世界中どこにいても保持されたいと思う。また、そのような確固たる「」を大事にしている・大切にしたいってことは、同時に他人のそれも尊重しなけりゃいけない、という理想にも繋がると僕は信じる。「お前がいくらマヨネーズ嫌いだろうとオレは好きだから、お前がケチャップ好きなのも認めるよ」ってのがそのアイディア。一方的な価値観の押し付けでも何でもなく、僕は単純に少しでも多くの人にこのような広い視野を持ってもらいたいと思う。もし世界中の人が僕みたいな贅沢な旅(とここでは言ってしまおう)をして色んな国に友人を持つならば、極端な話戦争なんて起こり得ないんじゃないだろうか。余りに多様な価値観に溢れる現代社会に於いて、「他人」を身をもって学ぶことによる平和的意義は非常に大きいに違いないから。また国際化とかグローバルスタンダードとか色々言葉はあるけれど、知識だけじゃやっぱり中身は補えないだろう。実際に多様な人々と出会い会話しアンテナを持って「他人」を吸収しないと、真の意味での国際人にはなれないはずだ。僕はあらゆる意味で究極の国際人を目指したいと思っている。今回のは、そんな自分を探す旅でもあった。
  
  帰ってきて改めて実感するが、今回実に貴重な経験をすることができた。最後に、旅先で会った多くの人々それに陰ながら常に僕の支えであった両親に、この場を借りて心から感謝したい。それでは、ここでシェアできないその他多くの土産話は木村本人にライブで尋ねていただければ幸いである。しかしまたやりたいぞ、世界一周。今度は東回りかな?  


  To be continued...??

  



おまけ・・・
旅行概要
  
  今回の旅で失ったもの。スカイダイヴィング最大のチャンス(オセアニア編。目前で未遂に終わる)。ど忘れによるシドニー-シンガポール間のマイレージ(現在ユナイテッド航空に申請中)。父譲りのカフスボタン1つ(どうした訳かオスロ市内で落とす)、折り畳み傘のケース(2度目の小雨のフランクフルトで紛失)、健全なスーツケースの車輪(3度目のフランクフルトにてご危篤に、現在も救命治療施し中)。米$と日本¥いっぱい。
  今回の旅で得たもの。HPのネタ。友情。夢。自身と自信。その他無数。



☆プレゼントクイズのお知らせ★

  方々の人達にお土産が欲しいと言われて久しいので、旅行完結後1ヶ月記念および10000ヒット目前記念も兼ねて今さらながら実施することにします。この旅行記の中に3つの「問い」が隠されています。それらと下の2問を合わせた合計5題のなぞなぞ(かなり簡単だと思います)の答えと、今後の【おんがくびと】に期待すること(具体的なアイディアや抽象的なコーナー名でも構いません)をメールにてお寄せください。先着約3名様に素敵な世界一周旅行御土産(軽くてかさばらないものになります)が当たります。なお当選者の発表は返信メールによって替えさせて頂くかもしくはパリゾーの掲示板にて行う予定です。また景品の送料は当方負担になりますので、本名及び住所を僕に知られたくない方は応募を見合わせて頂いた方が宜しいかと思います(応募のメールに連絡先等は必要ありませんが、ご当選が確認された時点でご希望の郵送先をお教え頂くことになります)。


  問い4.旅の途中僕にも予期せぬ知人達との奇遇がいくつかありました(孔雀除く)。それは何処でまた誰との出会いでしょう。2件お答えください。
  問い5.片道ばかりの今回の旅程に於いて僕が唯一往復を飛んだ路線があります。それは一体どの区間でしょう。
  


プレゼントクイズは終了しました。たくさんのご応募どうも有り難うございました。  





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